MI(Minimal Intervention)~必要最小限の侵襲について
MI(Minimal Intervention)~必要最小限の侵襲 について
MIとは?
MIとは、minimal intervention(ミニマルインターベーション)の略語であり、
「必要最小限の侵襲」を意味します。
虫歯治療を例にとると、虫歯で歯を大きく削ってなくなってしまうと、もう二度と天然の歯は再生しません。
例えどんなに最新で高価なもので人工歯を作製しても、あくまで人工的なものであり、自分の天然な歯に勝るものはありません。
そのため、簡単に言うとMIに基づいた治療では、「歯を削る量を可能な限り少なくし、今ある歯を大切にする」という考え方をします。初期虫歯の再石灰化処置や、リスクコントロールなどの予防的な治療もMIの考え方に含まれます。
MIによる虫歯治療の長所と短所
長所
- 歯を削る量が少ないため、自分の歯を温存することができる
- 歯の神経を取ることが少なくなる
- 必要以上に組織を傷つけないので、治療中の痛みが最小限に抑えられる
短所
- 神経を温存した場合、治療後にまれに回復しきれなかった神経に痛みが出ることがある
- 虫歯菌のいないやわらかい歯の質を残すと、詰め物の接着力が弱くなることがある
MI治療のために行われていること
・ダイアグノデント
昔は歯の溝の虫歯を探すときに、探針という細い金属針で歯の溝をこすっていました。しかしこの探針による操作により、歯の表面を傷つけてしまい、余計に虫歯になりやすくしてしまう恐れがあることが分かってきました。
そこで開発されたのがレーザー診断機器「ダイアグノデント」です。
歯にレーザー光を当ててその反射を測定することで、目視やレントゲンでも分かりにくい小さな虫歯を見逃さず、早期発見の難しい虫歯も見つけることができます。
また、虫歯の大きさを数値で表すため、初期虫歯をフッ素塗布で経過観察したときなどにその数値を観察することで、予防処置が成功しているか、経過が不良のため切削処置が必要かどうかを適切に判断することができます。
・虫歯検知液(カリエスチェック)
虫歯を削るときは、主に歯の柔らかさや色などから虫歯の部分を区別して削られます。歯が柔らかくなっている所はほとんどが虫歯菌に感染している「削除する必要がある」部位なのですが、その境界に薄く存在する虫歯菌に侵されていない柔らかくなっている部位は、削らなくても再石灰化により硬くなる可能性が高い部位なのです。
この虫歯菌がいるかどうか、判別の指標になるのが「カリエスチェック」です。
この薬剤は、虫歯菌に感染してしまった歯質のみを赤く染めるようになっています。カリエスチェックを用いると、本当に悪くなった部分だけを削るため、削る量を最小限に抑えることができます。
・ドックベストセメント
虫歯菌に感染した歯質は、原則としては全て削除する必要があります。
しかし全て削除すると神経が露出してしまうような深い虫歯では、神経を取る必要が生じてしまいます。
これを避けるため、「ドックベストセメント」を使用することにより、感染した歯質を一部残し、殺菌して硬化を促すことで、従来なら神経を取らなければならなかった深い虫歯でも神経を温存することが可能になってきました。
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